「生蕎麦」はなんと読む?
「生蕎麦」の文字。何と読みますか?
そば屋の暖簾に書いてあればそれはもちろん「きそば」ですね。「なまそば」ではありません。でも「なまそば」と読んで間違いない時もあります。
「きそば」
十割そばのこと。初期のそば切りはそば粉だけで打たれた。これを「生粉打ち」ともいう。そばのつなぎに小麦粉を使うようになったのは、元禄末か享保の後半ころからとみられる。現在では割り粉の使用は一般的であるが、その割合は店によって差異がある。一般的には二〜三割とみられる。
「なまそば」
そばを包丁切りして、ゆでるマエの状態のものを生(なま)という。生めんのこと。そば店ではそばを作ることを「生をつくる」ともいう。
つまりゆでる前の十割蕎麦のことは生蕎麦(きそば)の生蕎麦(なまそば)となります。そば屋の暖簾を見て「なまそば」と読んでしまう若者を見ても、目くじらを立てて誤りを指摘することはやめましょう。
(出典)新島繁「蕎麦の辞典」